悔しいけど好き
「奥さん元気?もうすぐ赤ちゃん産まれるんだって?」

「あ、ああ、元気だよ」

首の後ろを掻き気まずそうに返事をする周くん。
そんな周くんの腕を離し顔を上げ飛び切りの笑顔を向けた。

「楽しみだね、赤ちゃん。きっと可愛いんだろうな」

「凪…」

「周くん、家族が増えて幸せだね。」

「…ああ。凪は幸せか?あの彼氏は優しい?」

「う~ん、あいつ、意地悪だし俺様だしちょっとは優しいけど、幸せかな?」

ちょっとおどけて言ってみると眉根を寄せる周くんは本気で心配してくれてるよう。

「なんだそれ?凪が幸せじゃなかったら困るんだけど?彼に優しくするように言ってやろうか?」

「ふふっ、大丈夫だよ」

ふっと笑った周くんと二人で笑ってそして沈黙。

「…あ、じゃあ周くん。今日は来てくれてありがと」

「ああ、困ったことあったら遠慮なく言えよ。海里にも言えないことはいつでも俺が聞いてやる」

「うん、そうする」

くしゃくしゃと頭を乱暴に撫でられにっと笑って周くんは帰って行った。
その後ろ姿を見ていると後ろでカサリと音がした。

「何、付いてきてるの?」

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