悔しいけど好き
「ふふっ、私言ったよね?鷹臣が好きって」

「…でも…初恋は忘れられないって言うだろ?」

「そりゃそうだけど、好きな気持ちをずっと持ってるかといえばそうじゃないでしょ?鷹臣は?初恋、まだ引きずってる?」

「いや…」

「周くんはね、今は結婚してもうすぐ子供も生まれるの。周くんが幸せで私は嬉しい。それに久しぶりに会って改めて思った。周くんは私のとってこれからも変わらず第二の優しいお兄ちゃんなの」

周くんが去っていった方向を向いて改めて自分で言ったことを噛み締めてると不意に抱き締められた。

「お前のそんな顔見たらどんなに俺が頑張ってもあの人には勝てないって思ってしまう。凪が好きなのは本当に俺なのか?」

「え?そんな顔ってどんな顔?」

自分じゃどんな顔してたのかわからない。
ただ、周くんは変わらずお兄ちゃんだなぁと思っただけなんだけどな。

「愛しそうな顔しやがって…俺にはそんな顔見せないくせに」

悔しそうな顔をする鷹臣にその顔が見たかったと思ってちょっと嬉しくなる。
嫉妬されて嬉しいなんて変かな?
愛されてる実感がする。
私は鷹臣の首に手を回し引き寄せた。

「今好きなのは、意地悪で、俺様で、時々優しい鷹臣よ…」

自分から軽くキスをして離れると目を驚く鷹臣と目が合った。

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