悔しいけど好き
「ちょっと鷹臣!余計なことを!」

「余計?どこが余計だ?俺はお前のなんなんだ?」

ん?ん?と肩をがっちり掴んで覗き込んでくるからつい目を泳がす。

「え…と…同僚?…同期?」

「あ"?」

めっちゃ鷹臣の目が怖い!

「か…彼氏です…」

その言葉に満足した鷹臣はにっこり笑い頷いている。
おばさん達はそれを見てまたきゃあきゃあ騒ぎ出す。

「凪ちゃんったら恥ずかしがっちゃって!」

「いい男だねえ」

「海里君もイケメンだけどお兄さんの方がもっとイケメン!」

「お似合いじゃないかい」

「なになに?どこでこんなイケメンと出合ったの?」

次々騒ぎ立て鷹臣に凪ちゃんをよろしくなんて言って帰っていく。
おばさん達の質問攻めに顔がひきつっていたからみんな帰ってやっとふっと力が抜けた。

「よし!大分売れたな?補充も終わったし戻るか」

終始笑顔でおばさん達の質問攻めに対応していた鷹臣は一人元気に歩き出す。

ったく、鷹臣のせいでご近所さんに鷹臣のこと広まっちゃう。
辟易しながら鷹臣の後ろを付いていく。
< 112 / 325 >

この作品をシェア

pagetop