悔しいけど好き
家へ戻ると海里兄さんと周くんが庭で立ち話していた。

「凪、お帰り」

「周くん来てたんだ」

「どうも…」

笑顔の周くんに鷹臣は愛想笑いはするけどピリピリしてる。
昨日私の告白が気になってるんだろう。
考えたら元カレと今彼の危うい遭遇だったかもと思う。
私的にはお兄ちゃんと彼氏って感じなんだけど、鷹臣にしたら面白くはないよね。
じりっと繋いだ手に力の入る鷹臣に苦笑いが溢れる。

「凪、明日帰るだろ?ちょうど明日お前んとこの隣町の叔父の所に挨拶に行くんだ。家まで乗っけてってやるよ」

「え!いいの?」

やった!楽に帰れる!
鷹臣への気遣いは吹っ飛んで手を離し大喜びで周くんに駆け寄った。
実家から私の家まで5時間はかかる。
電車だと帰省客でごった返してるだろうし乗り換えもあるし結構面倒だから助かる!

「じゃあ明日、昼過ぎに迎えに行くよ」

「うん!周くんありがとう!よろしくね」

周くんが帰るのを手を振って見送ってると苦笑いの海里兄さんがツンツンと肩を突いてくる。

「なに?」

「あれ、放っといていいのか?」

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