悔しいけど好き
海里兄さんが顎で示した先には庭の縁側に座って足を組んで不貞腐れてる鷹臣がいた。
しまった…周くんと話が盛り上がって鷹臣を忘れてた。
喧嘩はすんなよ~と意味ありげに笑って海里兄さんは家へと入っていく。

あ~あ、とため息ついて近づいていく。

「なに拗ねてんのよ?」

「別に」

「出た!別に、発言!」

「うるせえ」

横に座ればそっぽを向いてこっちを見ようともしない鷹臣につい笑ってしまう。

「拗ねちゃってか~わい~」

「あ"あ"?」

険しい顔で睨んで来るのに怯むことなく腕を絡めた。
鷹臣は振り払うことはしなかったけど機嫌が悪い。

「電車で帰ったら疲れるじゃん。車の方が早く帰れるよ?帰ったら、私は覚悟しなきゃならないんでしょ?」

顔を覗き込んだら鷹臣は、お?という顔で見返してきて意味がわかったのかニヤリと不適に笑う。

「そうか、そういうことなら色々文句言いたいがやめておこう。俺を焦らしたこと後悔すんなよ?」

「あ~、うん…」

顔を引き吊らせ返事をした。
やぶ蛇だったか?

まあ、鷹臣の機嫌が良くなったからいいとしようか。

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