悔しいけど好き

ずっと締め切っていたから薄暗くて蒸し暑い玄関。
カシャンと鍵が掛けられる音がしたと思ったら今度はドサッと足元に荷物が落ちた音。

「なっ……」

振り向いた瞬間に壁に押しやられ羽交い締めにされる。
言葉を発する前に鷹臣の唇で塞がれた。

帰ったら覚悟しろとは言われたけど帰った直後にまさか襲われるとは思ってなかった。
油断していた私はされるがまま。

「ちょ、ちょっと待って…たか…」

何とか合間に話そうとしたけど覆い被さるようにキスは降り言葉を飲み込まれる。
奴の左手は私のゆったりめのチュニックの中に入り込み足が股に執拗に押し当てられる。
プチンとブラのホックが外された。

まさかの駅での再現に焦り、何とか鷹臣を押し戻した。

「ちょっと…はっ…待ってよ!」

「うるさい、覚悟しろと言っただろ!」

不機嫌極まりない声で怒鳴ると私の両頬を押さえ目を合わせる鷹臣。
そこには怒りと欲情と少しの悲しみが垣間見れた。

「よく見ろ俺の顔を!俺の嫉妬する顔をみたかったんだろっ?」

「あ…」

バレてる。
寝てると思ってたけど車での話を聞いてた?
それとも周くんが何か言った?
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