悔しいけど好き
お風呂から上がると少し涼しい部屋にほっとする。
鷹臣に差し出された水を飲み出すと一気に喉を通り飲み干してしまった。
よっぽど喉が渇いてたらしい。

お腹もすいて実家から手土産に渡された食材で軽くご飯を作り食べてひと心地つく。
後片付けをしてソファーに座る鷹臣の隣に座った。

「そういえば鷹臣帰らないの?」

「…帰ってほしい?」

ちょっとムッとする鷹臣に苦笑い。

「そうじゃなくて、ずっと家に帰ってないでしょ?心配じゃない?それに鷹臣の実家は行かないの?」

「家は心配いらない。実家は地元だからいつでも帰れる。わざわざ親戚の集まる時にいかない」

「ん?親戚が集まるから行くんじゃないの?」

「お前、行ったら結婚しないのかとかいい人いないのかとかお見合い写真持ってきて煩いことばっか言う叔母さん達の質問攻めに合うのにわざわざ行きたいと思うか?」

げんなりしてる鷹臣に相当厄介な叔母さんなんだろうと察してちょっと同情。
お見合い写真は聞き捨てならないけど私もたまに叔母さんからこの人どう?何て言われたりするからわかる。

「あ、はは…大変そうね」

「あ、でも今度は俺の実家に凪を連れていく。親に紹介するからな。早速明日でもいいぞ?」

「えっ!」

ドキッとして声をあげると訝しげな目が刺さる。
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