悔しいけど好き
案の定、あの周って奴は凪の元彼。
しかも初めての相手だと聞いて嫉妬しないわけがない。
どんなに普段培ってきた営業スキルをもってしても奴の前では感情がダダ漏れになる。

二人で帰るはずが余計なことに車で送るという奴に凪は大喜びでそれも気に喰わない。
車の中で話に花を咲かせる凪にちょっかいを出せば邪険に扱われるし。
不貞腐れ寝たふりすると俺の話になって起きるタイミングを失った。


「凪は、ほんとにその彼でいいの?心配だなぁ?」

ふうっと大きなため息を吐く奴に余計なお世話だ!と心の中で悪態をつく。

「ほんとに周くんは海里兄さんより心配性なお兄ちゃんだね」

凪はそう言って笑うが、ほんとにそうなのか?
奴の凪を見る目がそれだけではないのではと疑わしくなる。

「私達まだ始まったばかりなんだ。だからヤキモチ妬かせてどんな反応するかみたかったの。鷹臣拗ねちゃって可愛いんだよ」

凪の奴め、そんなこと思ってたのか。
俺が嫉妬したらどうなるか後で思い知らせてやる。
余裕でそんなことを考えていると段々と意識も遠くなりいつの間にか眠っていた。
< 139 / 325 >

この作品をシェア

pagetop