悔しいけど好き
「だけど俺たちが付き合ったのはたった一年間。俺が地方の大学に進学することが決まって離れ離れになって別れることに決めた。嫌いで別れるわけじゃなかったから辛かったよ。でも凪はまたお兄ちゃんとしてよろしくって泣きながら笑ったんだ」

やっぱり、凪は今でも奴の事が好きなのか?
凪が俺を好きと言っても一番はやっぱり奴なのか?
俺は奴に勝てないのか?
疑問と疑いが頭の中を駆け巡る。明らかに嫉妬してる。
奴と凪の過去に…。

「離れて、お互い別に付き合う相手も出来てそれでも時々実家に帰れば凪と会ってやっぱり好きだなと思った。そのうち今度は凪が地方の大学に進んでそのまま就職して俺が地元に戻っても会えないまま、俺は結婚した」

「ほんとに、何が言いたいんだよあんたは…今でも凪が好きだとでも言いたいのか?」

「…そうだよ、今でも凪が好きだ、愛してる」

「な…に、言ってんだよ。あんた奥さんも子供もいるんだろ?」

悲しげな眼で前を見据える奴の顔を映すミラーを信じられない思いで見つめる。

「ああ。でも、凪を愛してる気持ちは変わらない。きっと死ぬまで凪を愛し続けるだろう」

「何だよそれ…じゃあなんで凪と別れた?なぜ他の女と結婚した?今更遅いだろ?」

「そうだね、悔やまれるところだけどあの時俺たちは若かったし、離れてる間に色々あった。これが愛だと知るには遅すぎたんだ」


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