悔しいけど好き

奴は何でもお見通し

丸々1日私の部屋で密な時間を過ごし鷹臣は帰る。
鷹臣が帰るのが寂しいなんて今まで思わなかったのに今は凄く離れがたい。
玄関先で靴を履き振り向いた鷹臣はつまんなそうにしている私の顔を見て苦笑い。

「そんな顔したら帰れなくなるだろ?いつも清々した顔してたくせに」

「そんな顔って何よ?清々してるわよ早く帰って」

ついまた可愛くないことを言う。
ああ、やだやだ私の性格。

そんな私に奴はお構い無くチュッとキスをして、「またすぐ来るから」と笑ってさっさと帰って行った。
案外呆気なくって拍子抜けする。

はっ!まさか両想いになって満足しちゃった!?
釣った魚にはもう用はないとか?

一瞬焦ったけど、いやいや、そんなわけないかと自分を落ち着ける。

一緒にいるときはこの上なく幸せで、離れた途端に不安になるとか…。
どんどん鷹臣に嵌まってく自分が恐ろしい。
一つのことに熱中し過ぎる自分の性格はもう嫌ってほど自覚してる。

のめり込まないように気を付けよう。

まして、職場でも一緒だからちゃんとけじめをつけないと!
仕事はちゃんとやる!明日から仕事だ!
と両頬をぱちんと叩き自分に喝を入れた。
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