悔しいけど好き
正木部長にお礼を言ってウキウキで帰って背広にアイロンをかけた。
私たちの事認めてくれて褒められもして気分がいい。
パリッとなった背広を見てニヤニヤしてしまう。

夕飯を作り時計を見たらもうすぐ8時になろうとしていた。
鷹臣遅いな?まだ出先なんだろうか?
突然相手先に飲みに誘われることもあるから来ないこともあるけどそういう時は必ず連絡をくれる。
今の所連絡ないし、ここ最近はほぼうちに泊まって半同棲状態だし、自分の家に帰ったわけでもないだろう。
何かあったのかな?なんて心配してた頃、ピンポンとチャイムが鳴った。
誰だろうと思ってモニターを見ると鷹臣でいそいそと出迎える。

「あ、お帰り。遅かったね」

「ただいま。凪、大丈夫か?」

「え?何が?」

帰ってきたと思ったら突然私の両肩を掴み迫ってくる。
パタパタとあちこち触りだして何かを確かめていて、腕に触れられたときにヒリッとしてつい顔を顰めてしまった。
その顔をバッチリ見られ眉根を寄せた鷹臣は私をリビングに連れて行き明るいライトの下で私の腕をまじまじと見た。

「やっぱり、赤くなってる。これ火傷だろ?なんで冷やさない?」

「え?ああ…大丈夫かなと思って」

「大丈夫なわけあるか!ったく、自分の事になるとほんと無頓着だよな」

ぶつぶつと文句を言いながら鷹臣はタオルを濡らしてきて私の腕に乗せた。
何でわかったんだろうと思いつつ、そう言えば前にもこんなことあったななんてぼんやり思い出したけど、何だか怒ってる鷹臣に話しかけられなくて大人しくしているとひたと見据えられた。
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