悔しいけど好き
「鷹臣、怒らないで」

「彼女が傷つけられたんだ!怒るだろ!」

苦しそうな顔、自分がその場にいればって思ってるのかもしれない。
結局鷹臣は自分を責めてる。
私を守りたいって思ってくれてるだけでも嬉しいって思う。

「ねえ、荒川さんは本気で鷹臣の事好きだったと思うんだ。だから私たちの事噂で聞いて彼女も傷ついてると思う。だからこんなことで怒らないで許してあげて?」

「…なんで、そんな優しいこと言うんだよ…俺は受け入れられない」

「別に優しいわけじゃないよ。これでも社内一の美人に勝って鷹臣の彼女になったんだから優越感に浸ってるよ。だから余計なこと言って怒らせちゃった」

やっちゃったと舌を出し肩を竦めれば渋々なのか怒りを収めてくれた鷹臣がふうっと大きな息を吐き心配げに見てくる。

「凪…」

「私は鷹臣の側に居られて幸せ。だから大丈夫」

「…やっぱお前最高の彼女だ」

にっこり笑えば感無量な鷹臣が抱きしめてくれる。
この腕の中にいれば私は幸せで少しぐらい嫌なことがあったって許せるくらい充実してる。
心って大事だなって思う。
< 168 / 325 >

この作品をシェア

pagetop