悔しいけど好き
「あ、そう言えば正木部長が私たちの事よくやってるって褒めてくれたのよ?プライベートも充実してるならそれが一番いいって!ちょっと嬉しかった~」

話を逸らそうと正木部長の事を思い出し「私たちの事認めて見守ってくれてるのって心強いよね?」と言いながら後ろを振り向いたらより険しい顔でじとっとしてくるから目をぱちくりさせた。

「正木部長か…」

「え?なに?」

「正木部長ってちょっとあの人に似てるよな…」

「あの人?」

「だから凪は正木部長に憧れてんだな…」

今度はしゅんと項垂れて捨て犬モードになった鷹臣に頭が?でくるっと体を捻る。
確かに笑顔が素敵で大人でかっこよくて仕事の出来る正木部長に憧れて、目の保養にもなるからうっとりもするけど、仕事で認めてもらいたいってだけだし、あの人とは?

「え?誰の事?分かんないんだけど?」

「…あの、お兄さんの、幼馴染の…」

鷹臣は心底名前は言いたくないらしい。
苦虫を噛み潰してポツリポツリと言った。

「ああ、周くん?そう…かな?」

周くんの名前を出すと余計に眉根を寄せ憮然な顔をする。
周くんと正木部長が似てる?考えたことも無かった。

「まあ、確かに大人で素敵でかっこいいところは似てるかな?」

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