悔しいけど好き
「部長…笑い過ぎです」

未だに肩を震わせ笑いを堪えてる正木部長を熱い頬を押えながらジト目で見る。
もうそんなに堪えるくらいなら潔く思いっきり笑い飛ばしてくれた方がいい。
ちらほら戻ってきた人達がチラチラと私達を見ていく。

「ククッ…いや、笑って悪かった。なかなか可愛い顔してたから」

「なっ!何言ってるんですか!?」

チラリとこちらを見てにやりと笑う正木部長の色っぽい目線にドキッと心臓が高鳴って余計に顔が熱くなる。
絶対この人ワザと言ってる!
またクスクス笑って私の反応を見て面白がってる正木部長を今度は本気で睨んだ。

「まあまあ、そう怒るなって。表情豊かになっていいじゃないか。前は目が死んでたからな」

「ぶっ、部長…」

また昔の病んでた私を引き合いにそんなことを言われしゅんとなる。
ほんとに反省してますからそれは言わないでください~と心の中で泣いた。

「ああ、悪い悪い今のは地雷だったな、元気になって良かったと言いたかったんだ。別にからかってるわけじゃないから許せ」

「はあ…」

「それよりちょっと話がある、来てくれ」

苦笑いで私の肩を叩く正木部長は会議室を指さし先に歩いて行く。
何の話か分からない私は気を取り直しノートとペンを持って後に続いた。

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