悔しいけど好き
・・・・・


「どうした?何ぼーっとしてるんだ?」

「ん?ん~ん別に」

家に帰り夕食が出来た頃に鷹臣も帰ってきて一緒に食べ洗い物をしてる最中に手が止まってたらしい。
ハッと気づいて何でもないように手を動かし始めた私の顔をじっと見てくる鷹臣に引き気味に目を合わす。

「なに?」

「なんか今日お前変だぞ?上の空というか。絶対なんかあっただろ」

「何にもないって」

洗い物が終わって水を止め手を拭く。
片付け担当の鷹臣を残しお風呂を入れに行く。
お湯を入れながらまたぼーっと考え事をした。

今日、正木部長にまだ誰にも言っちゃだめだと念を押された話。
鷹臣には相談していいって言われたけど、これは一人で考えなきゃいけないって思った。

「やっぱり、ぼーっとしてる」

「鷹臣」

お風呂にまで様子を見に来た鷹臣は私の顔色を見て心配そうな顔をする。
ほんとに最近の鷹臣は甘くて過保護だ。

「ほんとにどうした?何なら一緒に風呂入るか?湯船に沈んでそうで怖いんだけど?」

「失礼な。ねえ鷹臣」

「ん?」

「今日合コンだったんでしょ?行かなくてほんとによかったの?」

「え!?なんで凪が知ってんだよ!ってか行かないし!」

慌てる鷹臣を見てつい口を滑らせてしまったと後悔、あの会話を聞いてたなんてはずかしくて口が裂けても言えないと何とか繕う。

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