悔しいけど好き
美玖さんはうんうんと相槌を打って口を挟まず聞いてくれて、私は支離滅裂ながらも不安に思ってることを吐き出した。
とにかくみんなに迷惑をかけたくない一心で話をすると最後に美玖さんが言ってくれた。

「ほんとに迷惑とか思ってたら正木部長は選べなんて言わないと思うよ?神城くんだって迷惑だなんて絶対思ってない。周りの事は気にせずに凪ちゃんが思う自分のしたい仕事を選べばいいんじゃないかな?凪ちゃんがどうしたいのかが大事だと思うよ?」

「そうですかね…」

「まだ答えを出すまで時間があるでしょ?ゆっくり考えるといいよ。私何度でも相談乗るから」

「ありがとうございます美玖さん」

美玖さんに話を聞いてもらって少しだけすっきりした。
最後に決断するのは私だけど言っていて心の整理が付いた気がする。

二人でにっこり笑って冷めてしまったグラタンを急いで食べた。
仕事の事はまだ迷うけど時間があるからゆっくり考えよう。

「そうそう、悩みは仕事だけじゃないよね?神城くんとのこと悩んでる?」

食事が終わり食後のデザートも頼んで紅茶を飲んでいると思い出したように美玖さんが言う。

「ああ…はい」

「神城くんと喧嘩でもした?」

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