悔しいけど好き
「そうじゃないんです…」

仕事のことよりもズーンと重くのし掛かる鷹臣とのこと。
付き合いは順調そのものなのに不安がいつも付きまとう。

「昔…初めて付き合った人に言われたんです。私達はこれからもいろんな出会いがある、運命の相手を決めるのはまだ早いって。私はその頃その人が大好きでずっと一緒にいれると思っていたんです。たとえ離れ離れになっても好きでいたかったのにそう言われて私達は別れました」

そこまで言うとデザートが運ばれてきて一旦話は中断した。
初めて付き合った人はもちろん周くんのこと。
周くんが地方の大学に進学しても暫くは遠距離で付き合っていたけれど夏休みに帰って来た周くんに久しぶりに会えたと思ったら別れ話をされてかなりショックだった。

「それで、その初めて付き合った人のことまだ好きなの?」

美玖さんが話の先を促してデザートを突きながら横に首を振る。

「彼とのことは時間はかかったけどもう過去のことです。彼は今結婚してもうすぐ子供も生まれます。彼は運命の人が見つかったんだなと心から祝福してます」

周くんは奥さんのことを運命の相手と決めたんだろうか?
それは聞いたことがなかったな…。

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