悔しいけど好き
いつもかじられてばかりだからお返ししてやろうとがぶっと強めにかじりついたのはもちろん鷹臣の鼻。

「いてっ!」

「ふふん、目が覚めた?」

涙目の鷹臣にしてやったりと得意気に笑う。

「いってーなこのっ…」

じろりと睨まれ、あっ!ヤバい逃げなきゃ!と思った時にはもう遅い。
がっちり頭を押さえ込まれ仕返しされる!と思って目をぎゅっと瞑った。

「う!…ん?……」

引き寄せられ覚悟した仕返しは甘く濃厚な口付けで、硬直した体は溶けてふにゃふにゃになりそうになる。

「いちごの味がする」

ふと鷹臣が呟いて蕩けるような目と合った。
あ、鷹臣のこういう顔も好きだなとじっと見つめさっき食べたデザートを思い出す。

「うん、いちごたっぷりのムース食べた。すぐそこの気になってたレストラン、美味しかったよ今度一緒に行こう?」

確かにまだ鼻腔に残るいちごの香り。
つつきすぎてちょっとぐちゃぐちゃになっちゃったけど手作りのムースはすごく美味しかった。
今度は鷹臣と一緒に食べに行きたい。

「そうか、確かに美味いな、甘くて病みつきになりそう」

「ん?」

食べてないくせに何言ってるの?と思ったらキスされて口内をくまなく味わい尽くされた。
また蕩ける目と微笑み合って甘い甘いキスに酔いしれた。
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