悔しいけど好き
「昔話って何?変なこと言ってないでしょうね?」

小さな頃から知ってる周くんは私のあらゆる羞恥話も知ってるし、付き合った頃の話なんてされたらそらもちろん鷹臣は面白く無いだろう。
口止めしておくんだったと今さらながら後悔。

「凪が可愛かったって話だけだよ。そんなんで嫉妬とかしてもしや暴力とか振るわれてないだろうね?」

「そ、そんなことはされてないよ。機嫌悪くて大変だったって話」

暴力ではないけどもあれは端から見ればちょっと危ない状況だったとは思うので絶対秘密にしておこう。
苦笑いをしてるとはあ~っとため息が聞こえた。

「俺はまだあの彼を信用はしてないよ。凪、泣かされるようなことがあったらすぐに言えよ?こっちに帰って来たっていいんだ」

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ほんと心配性だなぁ。私の事より奥さんと赤ちゃんの心配しなよ」

「ああ…妻と子供は心配要らないよ。離れてるからこそ凪が心配なんだよ」

「私は大丈夫、鷹臣も過保護なくらい優しいし仕事も順調だし十分幸せだよ」

「…そうか」

やっと納得してくれたのか静かに返事をした周くんにふと聞いてみたくなった。

「周くんにとって奥さんが運命の人だったんだよね?」

「え?…」

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