悔しいけど好き
「凪ちゃん!」
私に走り寄り肩を抱いた美玖さんを見て、安堵で涙が次々と溢れ出す。
止めどなく出てくる涙とガタガタと震える体がどれだけ恐ろしかったか今になって身に染みた。
「う…うう…」
振り向きそれを見た鷹臣は唇を噛み恐ろしいまでの形相で起き上がろうとしてた袴田専務を睨む。
「ぼっ…僕に暴力奮ってただですっ済むと思うなよっ!」
よろよろと立ち上がり殴られた右頬を押さえ悪態を付く袴田専務の胸ぐらを掴み左手が上がる。
「うるせえ!下衆が!」
「神城!落ち着け!」
殴りかかろうとしたところを止めたのは山本さんと駆けつけた正木部長。
他にも何事かと数名覗いていたらしいけど誰かはわからない。
その後はどうなったのか記憶は定かじゃなく、ただ怒号と揉み合う音が頭の中に響いて耳を塞ぎ、ここから一刻も逃げたいと涙を流すだけだった。
落ち着きを取戻した時には資料室に鷹臣と袴田専務の姿は無くなっていた。
正木部長に家に帰るように促され美玖さんと共に会社のエントランスに出たら、外は時折稲光が射す大雨で肩を竦めながらまるで今の自分の心境が空に移ったようだとぼんやりと思い浮かべた。
私に走り寄り肩を抱いた美玖さんを見て、安堵で涙が次々と溢れ出す。
止めどなく出てくる涙とガタガタと震える体がどれだけ恐ろしかったか今になって身に染みた。
「う…うう…」
振り向きそれを見た鷹臣は唇を噛み恐ろしいまでの形相で起き上がろうとしてた袴田専務を睨む。
「ぼっ…僕に暴力奮ってただですっ済むと思うなよっ!」
よろよろと立ち上がり殴られた右頬を押さえ悪態を付く袴田専務の胸ぐらを掴み左手が上がる。
「うるせえ!下衆が!」
「神城!落ち着け!」
殴りかかろうとしたところを止めたのは山本さんと駆けつけた正木部長。
他にも何事かと数名覗いていたらしいけど誰かはわからない。
その後はどうなったのか記憶は定かじゃなく、ただ怒号と揉み合う音が頭の中に響いて耳を塞ぎ、ここから一刻も逃げたいと涙を流すだけだった。
落ち着きを取戻した時には資料室に鷹臣と袴田専務の姿は無くなっていた。
正木部長に家に帰るように促され美玖さんと共に会社のエントランスに出たら、外は時折稲光が射す大雨で肩を竦めながらまるで今の自分の心境が空に移ったようだとぼんやりと思い浮かべた。