悔しいけど好き
「噂の出所は色々だしお前はそれを利用したに過ぎないだろう?話によると、あの袴田専務は秘書課の荒川さんにしつこく言い寄ってたそうだ。それを断るために荒川さんはお前が好きだと公言して袴田専務にも言ったらしい。」

「え…?」

「お前と付き合える前提で言ってしまって、いざ告白したらフラれて、お前は羽柴と付き合うようになった。それを知った袴田専務はまた言い寄ってきてフラれても神城が好きだと言ったそうだ。それで袴田専務は荒川さんを振ったお前と彼女の羽柴に興味を持ったらしい」

「…どういうことですか?なぜ山本さんがそんな事知ってるんですか?」

噂にも聞いたことのない初耳の話に思わず唸るように聞きただす。

「荒川さんに相談されたんだよ。お前に羽柴に近付くなときつく言われてるしお前も会ってはくれないだろうからって…」

「っ……」

凪を酷い目に合わせた荒川には金輪際関わらないでくれと半ば脅しのように言い含めた。
冷静に対処したつもりだったのに凪に関わることで俺は冷静な判断が出来ないらしい。
あの時、そんな事を言わなければもっと早く荒川から事情を聞いて対策が出来たかもしれない。
反省しきりだった荒川は二度と凪に酷いことはしないだろうとわかってたのに…。
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