悔しいけど好き
「まったく、神城は少し落ち着け。袴田専務の言い分は聞いて社長にも連絡を入れた。今後の事はまた話し合いということになるが社長がきちんと息子の後始末はすると仰ってくれた」

「そんな簡単に帰さないでくださいよ!社長は奴の父親だろ!息子を庇うに決まってる!」

「神城落ち着けって!正木部長もちゃんと考えがあってやってくれてることだろ?」

山本さんがどうどうと肩を押え正木部長に詰め寄る俺を引き離した。

「息子はどうあれ、社長は信頼に値する尊敬できる人だ。息子の不祥事は親である自分の不徳の致すところだと仰って必ず羽柴が同じような目に合わないように対処してくれると約束してくれた」

「そんなの信用できません…奴は絶対自分のいいように言い訳してるはずだ」

「まあそこは…一応袴田専務の言い分も聞かないと不公平だからな。さすがの俺も聞くに堪えない部分もあったが奴は言いたい事は言って満足した様子だった」

山本さんの手を振り払い正木部長を睨む。
奴が凪を侮辱してると思うと腸が煮えくり返る。
「ふざけやがって…」小さく呻くと呆れたようにため息を付いた正木部長はまあ座れと自分はさっさと席に着く。
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