悔しいけど好き
そう言ってポケットから出したのは掌にすっぽりと収まる小さな四角い黒い物。

「俺の車に付けてたポータブル式のドライビングレコーダーだ」

「え?まさか?」

山本さんが声を上げる。
俺も目をひん剥きその小さな物体を凝視した。
その中央にはきらりと光る小さなレンズ。正に小型カメラだった。
それを棚の上にセットしご丁寧にバッテリーまで付けて丸一日使えるようにしてあったそうだ。

「一部始終バッチリ映ってるぞ、見るか?お前にはかなり耐え難いものになると思うが…」

「見せてください」

一つ空いてた椅子に移りくい気味に即答した俺に苦笑いをした正木部長は徐にタブレットを操作しその映像を映し出した。

「覚悟しろ、逆上して暴れる様なことはするなよ?」

正木部長に念押しされて言葉も無く頷くと正木部長は画像をスタートさせた。



・・・・・・・・・


ガタンッ!ドンッ!!

画像は俺が飛び込む一瞬前、奴の声がはっきり聞こえ凪に不躾に触れるのを見て、俺は勢いよく立ち上がり椅子は横転、我慢していたものが一気に爆発して机に拳を叩き付けていた。
叩き付けた振動でテーブルにあったタブレットと小型カメラが小さく跳ねる。
二人は突然のことに驚き俺を見て目を剥くがその間もタブレットは俺が乱入し暴れてる様を見せつける。

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