悔しいけど好き
………
……

すっかり寝入った凪の泣きはらした目元を撫で、頬に触れ冷えていた体が温まったのを確かめて抱きしめていた腕を解きベッドに横たわらせた。
横に寝転び凪の頭を撫で傍に居られることに改めて安堵する。


………

家に帰り凪を見つけ触れようとした時の凪の怯えた姿に少なからず衝撃が走った。
震える身体を抱き締めてやりたいのに俺の手は何度も躊躇した。
それなのにこのまま凪に触れることも叶わず別れることになるのかと一瞬のうちに頭を過ぎり耐えきれなくて下を向く。

「こんな俺が…」

別れたくないと言うのはおこがましいかもしれない。
凪は俺といるのに嫌気が差して別れたいと言えば本来なら受け入れなければいけないだろう。
だけど、俺はこんなに凪を求めてるのに別れるなんて到底できない。
諦めが悪いと言われようが執着と言われようが目の前の凪を離したくない。

思い悩み思案してると、気が付けば目の前に凪の指先が見え、いつの間にか流れていた涙を拭われていた。

「鷹臣は、怖くない…」

涙を流しか細い声で俺を見つめる凪に愛おしさが込み上げる。
慎重に触れてもいいかと尋ねこくりと頷いたのを見て、少し冷たい身体を抱きしめ安堵でため息が漏れた。

……

どんなに辛い目に合わせてしまってもやっぱり俺は凪とは離れられない。
凪の寝顔を見つめながら俺は酷い男だと嘲笑気味に笑った。

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