悔しいけど好き

あなたとわたし

……

ぷんと出汁のいい匂いが鼻をくすぐり、目を薄ら開けるとぐうううと自分のお腹が鳴り響いて目をぱちくりと開けた。
暗い部屋にベッドに横たわってるのに気付いて体を起こし辺りを見ても鷹臣はいなかった。
雷雨は去ったのか外は静かでカーテンを閉め切っていても今は夜だと分かる。

よろよろと立ち上がりドアを開けるとキッチンで鷹臣が何やら料理をしてる様子。
美味しそうな出汁の匂いがより一層濃くなって鼻をクンクンさせてると振り向いた鷹臣が私に気付いた。

「凪、起きたか。腹減ったろ？丁度今うどんが出来上がったから食べよう」

穏やかに言う鷹臣に頷いてそろそろとソファーに座ると、鷹臣がどんぶりにうどんを入れているのを眺めた。
あまり料理をしない鷹臣の数少ない得意料理がうどんだ。
出来合いのめんつゆとゆでうどんを合わせただけのシンプルなうどんは前にも作ってもらったことがある。
簡単なのにそれが妙に美味しくて驚いたことを思い出した。

二人分のどんぶりを持ってきてテーブルに置くと横に座った鷹臣がじっと私を見つめてきた。
目線を辿ると私はまだバスローブを着たままで前が少し肌蹴ていて慌てて前を合わせ縛り直し鷹臣を睨む。

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