悔しいけど好き
「今はゆっくり休んだ方がいいだろ?無理するなよ」

「不安…なの…。鷹臣は私が好き?こんなことになって愛想尽かせてない?私と出会ったこと後悔してる?」

頬を包む鷹臣の手首を掴んで不安を口にすると次から次へと言葉が突いて出てくる。

いつも心配させてトラブルに巻き込んで、私と出会わなければ鷹臣はこんな心労もさせることはなかったし謹慎処分になんてならなかった。
私が他の男に触れられてるところを目の前にして鷹臣はなんと思っただろう?
背中を向けここから去っていく鷹臣を考えただけで怖くて怖くて堪らない。

「バカだな、言っただろ?俺は凪とは離れられない。何があっても凪のそばにいる」

「鷹臣………」

「俺はすぐ嫉妬して、頭に血が昇って、こんな風に凪を泣かせる。でも俺は凪を手放せない。凪の方こそこんな俺が怖くはないか?」

「……怖くない…鷹臣は、怖くないよ…」

潤んだ瞳で真っ直ぐ見れば鷹臣は息をのみ見つめ返えしてくる。

「私を抱いて…嫌な記憶を消して」

それを聞いてぐっと一瞬険しい顔になった鷹臣は直ぐに眉を下げ困った顔をする。

やっぱり嫌なのか…と思って目を伏せると鷹臣が近付いてきてキスをしてゆっくりと押し倒された。


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