悔しいけど好き
ほぼ、悪口のその付箋を見せられても知らん顔で私は、棚に置いてあった紙袋をその資料の上に置いた。
もちろんそれは奴の置いてったパンツ。
ムカつくけどしょうがないから洗ってきれいに畳んである。

「これ、忘れ物」

「おい…」

ギロリと睨まれ、つんとよそ見をして腕を組む。

「そこに書いてあるのは事実でしょ?それ持ってとっとと帰って」

「…こんにゃろ…ムカつくなお前!」

悪態ついた神城は帰るそぶりもみせずにドカッとソファーに座りこむ。

「ちょっと!何座ってんのよ!さっさと帰ってよ!」

「ふん!煩い!腹減った!飯!」

亭主関白宜しく言い放つ神城に怒り心頭!

「何なのいったい!なんであんたにめし(・・)!出さきゃなんないの!?」

「俺はまだ飯食ってないんだ!お前のせいでまた予定が狂った!責任とって飯を出せ!」

「何それ!!」

「それとも、みんなに言いふらしてもいいか?お前が一晩中俺にしがみ付いて寝てたって。一夜を共にした俺たちの事、みんなはなんて思うかな?」

「ぐ…」

思わず言葉に詰まる。
絶対みんなは面白がって私たちをくっ付けようとする。
神城のこと大嫌いだっていうのにそれでも、好きだから噛みつくんでしょ?なんて言って、生温かい目で見てくるのだ!
こいつと一夜を共にしたなんて聞いたら勝手に皆は盛り上がるだろう。
そんなのは願い下げだ!

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