悔しいけど好き
「怖くなったら言えよ?」

一度体を起こした鷹臣にそう言われ私が頷くと、鷹臣は着ていたTシャツを脱ぎ捨て、私のバスローブの紐を解いた。
外気に触れヒヤリとした体は直ぐに熱い体に覆われて一瞬身体をくねらせる。

キスが再開しそれが濃密になる頃、鷹臣の手が身体に触れるとついビクッと大きく反応してしまって鷹臣は顔を上げた。

「やっぱり…やめるか?」

「ううん、やめないで」

やめようとした鷹臣は私の懇願を聞き入れ再び壊れ物に触れるように手を肌の上に滑らせる。
どこまでも優しい手付きに安心していつの間にか硬直してた身体の力が抜けた。
私の反応を見ながら鷹臣は慎重に手を動かし胸に触れると私の唇からは熱い吐息が漏れだす。



「ん………あ!…」

と、私は吐息とは違う何か思い出したときのような声を出し、鷹臣は再び顔を上げた。

「どうした?」

「…ふふ…そうか、そうだよね」

「ん?」

微かに笑う私に鷹臣は首をかしげる。
これは言わない方がいいかとも思ったけど、言えよ!と睨んで訴えてくる鷹臣に根負けして言うことにした。
これを聞いて怒らないでよ?と先に前置きして話し出す。

「いつもと触れられる場所が反対だった」

「は?」

何のことだかさっぱりわからない鷹臣は益々首をかしげる。
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