悔しいけど好き
………


それから5日間、何をするでもなく二人でたっぷりまったりして私はすっかり元気になった。

鷹臣は時々正木部長と連絡を取り合ったり仕事の件で電話が来たりしてた。
美玖さんから様子を伺う連絡はあれど、私には仕事の連絡はさっぱりでなんだかつまんない。

明莉からも休んでいることを心配し連絡をくれたけど、本当のことは言わない方がいいと鷹臣に止められ心苦しいけど風邪を拗らせ休んでると伝えた。
優しい明莉はお見舞いに来るというのを、移るといけないからと何とか説き伏せた。

……と、思ったら逆に怪しまれた。
出社出来るようになったら会いに来るように!と強く言われたじたじになる。
察しのいい明莉には嘘は付けないと諦め全て終わってから話そうと思う。

鷹臣は今も正木部長からの電話なのか私をチラチラ見ながら話をしている。
袴田専務のことはどうなったのか全然教えてくれない鷹臣を不貞腐れながら見ていた。

大体私の話はいつ聞いてくれるのだろう?
あの時あったことを言うのは辛いけど覚悟は出来てる。
ちゃんと事実を知ってから然るべき対処をしてほしいと思う。

「え!…ああ、はい。聞いてみます…」

突然驚いた声を出す鷹臣は私を見てスマホを耳から離す。

「凪、社長が…直接会って謝りたいって言ってるそうだけど、どうする?」

「え!?社長が?」

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