悔しいけど好き
「さて、私の仕事はこれで終わりです」

神城弁護士は書類を片付け立ち上がる。

「あっありがとうございました」

私も慌てて立ち上がり頭を下げた。
正木部長も立ち上がり神城弁護士に握手を求めた。

「ありがとうございました。デリケートな話ですしあなたが交渉に当たってくれたお陰で話が早く終わって良かった」

「いえいえ、羽柴さんの寛大な決断のお陰ですよ」

本来ならば…と難しい話をしだす神城
弁護士に正木部長が興味深く頷いてるのをボーッと見ていた。

神城弁護士もとてもイケメンで正木部長と並ぶと知的でクールで穏やかで大人の余裕を醸し出していて、二人が語らっているのは凄く絵になる。

「おい、何みとれてるんだよ」

隣から不機嫌オーラを撒き睨んでくる鷹臣にひょいっと目だけを向ける。

鷹臣も初めは端から見れば、知的で何か余裕があって大人な雰囲気があったけど、付き合って見ると意外と直ぐ頭に血が昇って余裕なんて感じられないし、俺様なところはただのわがままだしで、あの二人と見比べると全然子供。

今だってヤキモチ妬いて不機嫌を隠そうともしない。

「なにそこで不貞腐れてるんだ鷹臣は?」

いつの間にか話し終えた二人が私達の前にいて神城弁護士が話しかける。

「別に…」

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