悔しいけど好き
つんとそっぽを向く鷹臣をいつものことなのかやれやれというように肩を竦めた神城弁護士は、気にも止めずに私に向き直り目線に合わせて少しかがんだ。

「今回のことはこれで終わりだけどほんとに良かったかい?」

「はい、早く終わって日常を取り戻せればいいんです」

しっかりと頷くと納得したように神城弁護士も頷き体勢を戻す。

「あの、鷹臣は…どうなっちゃうんでしょうか?」

専務を殴ったことに関することは一切触れて無かったので気になって聞いてみると、目を丸くする神城弁護士と正木部長。

「羽柴、神城の心配することないぞ?自業自得なんだから」

「部長…それはないでしょ」

正木部長の言葉に鷹臣はますます不貞腐れる。

「ははっ、ほんとに君は優しいね?鷹臣の彼女にしとくのは勿体ないな。喧嘩っ早い鷹臣より僕と付き合わない?」

面白そうに笑ってウィンクしてくる弁護士さんにどきっと胸が高鳴る。
だってすっごい素敵なんだもん!
そんじゃそこらの男が同じことしても絶対こうはならない!

「ちょ!アニキ!冗談でもそういうこと言うのやめろよ!見ろよ洒落にならん!」

その言葉に男性3人の視線が私に注がれてるのも気にも止めず、私は手を胸の前で組み目をキラキラさせて神城弁護士を見つめていた。
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