悔しいけど好き
「まずは腹ごしらえだ、めーし!」

勝ち誇ってふんぞり返る神城に何も言えずギッと睨んで今日作ったビーフシチューを温ため直す。

きゅーーーぐるるっと盛大な音が聞こえる。

「あー腹減った。いい匂いするな」

いそいそと資料を片づける神城を睨みお玉を持った手がフルフルと震える。

ムカつくムカつく!
何であんな奴に渾身の出来のビーフシチューを食べさせなきゃなんないの!?
おかしい、こんなはずじゃなかったのに!
さっさとパンツを返して嫌味の一つや二つ言い放って追い返すはずだったのに!

ムカムカしながらシチューをよそい、ご飯も一緒に突っ込んでやった。
ブスッとした顔で出してやると待ってましたと言わんばかりに満面の笑みでいただきます!と言ってばくばくと食べ出す。

「うま!」

さっきまでの言い合いが嘘のように上機嫌で平らげるのを呆れ顔で見てしまっていた。

あー明日も食べようと思ったのに…。
気がつけば2回もおかわりされてシチューはきれいサッパリ神城のお腹の中に収まってしまった。
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