悔しいけど好き
「ねえ鷹臣の従兄さん佳祐さんだっけ、素敵ね?弁護士だなんて知的なとこもカッコいい」

「……」

家に入ると何かと話しかけてもだんまりを決め込んでる鷹臣に地雷とわかりながらも従兄さんのことを誉めちぎった。
案の定鷹臣はピクリと肩を震わせ眉間にシワが寄る。

「大人の余裕があって穏やかで優しい笑顔。佳祐さんってスッごいモテそうね?」

「……どうせ俺は子供で余裕もなくて優しくないですよ」

「んん~?」

低くぼそぼそと呟く鷹臣の顔を覗き込む。
ふいっと逸らされたので両頬を包んでぐいっと目線を合わさせた。
抵抗はしなかったけど視線は直ぐに下を向く。

「何怒ってるのかなぁ?」

「……やっぱり凪はああいう大人な男が好きなんだろ?」

「うん、そうなんだけどね……」

あっさり認めるとぎろりと睨まれ苦笑い。

「でも悔しいかな、私が好きなのは鷹臣で鷹臣意外は受け付けられないときてる。ここ数日何度も話し合ってお互い唯一無二の存在だと確かめ合ったのにまた疑うの?」

そう言うと鷹臣は目を見開き絶句してる。
ぽかんと口を開けてちょっと間抜けな顔に思わず笑った。
それで口を真一文字に閉じた鷹臣は私の両手首を掴み頬から離すと抱きしめられた。

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