悔しいけど好き
ほんとに…どう突っ込んでいいのやら…。
私を通り越して家族に私をください宣言するわ、知らぬ間にプロポーズするわ、いきなり指輪買ってくるわ、喧嘩の最中に改まって結婚してくださいとか…
そう、私達今、喧嘩してたよねえ…?

「そこはほら、俺の性格も少しはわかってきただろ?ちょっとは察しろよ」

「なにそれ、全然わかんないんだけど?」

開き直ったかに見える鷹臣はははっと乾いた笑いをするからじっとり睨んでやった。
その笑いがぴきっと固まりその顔が面白くてつい吹き出してしまう。
クスクス笑う私に釣られ鷹臣も吹き出してもう一度「幸せにするから」という言葉に「はい、よろしくね旦那さま」と返事をした。

……


「なんだ開けられないのか?」

私がペットボトルのキャップを開けようとしたままキラリと光る指輪に気を取られ思い出話にふけってると、鷹臣がひょいっとボトルを取り上げキャップを外してほら、と渡してくれる。

「あ、ありがと…」

開けられないわけじゃないんだけど…と思いつつ素直にお礼を言って甘い香りを放つボトルに口を付けココアを一口飲んだ。

ふうっと温かいココアに癒されながら今度は先ほどまで行っていた鷹臣の実家のことを思い出す。

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