悔しいけど好き
初めて会った鷹臣のご両親。
さすがこの親にしてこの子有りと言われるようにダンディーなお父さんと美人のお母さんでこっそり感心してしまった。

鷹臣を溺愛してるというお母さんの少し不機嫌そうで、品定めするような目が私の左手で止まってることに気が付いて悪いことをしてるわけでもないのに肝を冷やした。
そんな私を他所に鷹臣の紹介はあっさりしたもので…。

「俺の彼女。近いうち結婚するから」

突然やって来て開口一番がそれで私もお母さんも驚きであんぐりと口が開いていた。

いやいやそれ、私の印象最悪でしょ!?
と、慌てて自己紹介をした。
お父さん一人冷静に「そうか」と、頷いていて、お母さんも取り繕うように「そうなの」と引きつりながら微笑んでいた。


ふう~~。

「なんだよさっきから浮かない顔をして」

ちびちびココアを飲みふうっとまたため息をつく私を見かねて尋ねてくる鷹臣。
それもこれもあまり実家に帰りたがらない鷹臣のせい。
全然帰って来ないと思ったらいきなり彼女連れて結婚だなんて…とお母さんにぼやかれた私はどうしたらいいのよ。


「私絶対鷹臣のお母さんに嫌われた気がする…」

「え?そんなわけないじゃん」

私の悩みを軽く吹き飛ばす鷹臣のあっけらかんとした態度にぷくっと頬は膨れ奴を睨む。
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