悔しいけど好き
「うちの親は二人とも喜んでるよ。何も心配いらない」

最後まで不満げだったお母さんのどこをどう見たら喜んでると言えるのだろうか?
私を励まそうとしてるだけ?それにしたら励ましかたが下手すぎる。

「…その顔は信じてないな」

じっとり睨む私を見て苦笑いの鷹臣はごそごそとポケットを探ってスマホを取り出した。
そして操作をしてほら、と渡してくる。

「え…?」

思わず受け取ってスマホを見るとメッセージアプリが開いていて目を見張る。

[もう、何で急に来てさっさと帰っちゃうかな?]
[彼女がいるなら早く言ってよね]
[お見合い話し結構来てるんだから断るの大変なのよ]
[今度はちゃんと時間作って来てよ]
[もっと凪さんとお話したかったわ]

鷹臣のお母さんからのメッセージには私の悪い印象は無いようでぜひまた会いたいと書いてある。
それを見てちょっとホッとした。
でも、終始不満げだったのは?

「俺が全然帰って来ないとか来てすぐ帰るとか彼女紹介するのが遅いとか、全部俺に対する不満が顔に出たんだよ、凪を嫌ってのことではないから安心しろ」

私の疑問を察してか鷹臣はそう言ってにこりと笑う。

「ほ、ほんとに?ほんとにほんと?」

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