悔しいけど好き
「ぷっ…ほんとだって。例え不満があったとしても俺が選んだ彼女に文句は言わせない。凪の良いところいくらでも言って説き伏せてやるから」

あまりにしつこい私にぷっと吹き出して私の手を握った鷹臣はその手を口元に持ってきて手の甲にキスをした。
不意討ちのキスにどきっとして嬉しいことを言ってくれる鷹臣に照れて私はうつ向いてしまった。
でも口元は嬉しくて緩みっぱなし。
鷹臣ってほんと急に甘くなるから未だにドキドキさせられる。

「あ…お見合いって…」

お見合いの話しが結構来てるってメッセージに書いてあるのを思い出してそれがふと声に出た。
それを聞き逃さなかった鷹臣は「あ~~」とめんどくさそうに話し出す。

「それは父さんがそれなりの役職で年頃の息子がいるって聞いて縁談が来てるだけだ。全部断ってくれって言ってるし俺は一度も相手と会ったことはないからな?叔母も自分で会社経営してる人で世話を焼きたがるからそっちからも話が来て…あ~そっちは叔母さんがしつこくてうんざりしてたんだ」

心底嫌そうな顔をして鷹臣は肩をすぼませる。
と、そこでまだ持ってた鷹臣のスマホがブルブル震えだしてちょっとビックリした。

見たら電話のようで「磯貝涼子」と名が出てる。
女の人だ…と一瞬固まる。
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