悔しいけど好き
「あー、満足満足」

「ちょっと…」

めちゃくちゃ睨んでるのに奴は上機嫌のまま。
こいつはほんとに何しに来たの?

「お前の飯は旨いな!それに会社から近いと何かと便利だ、ちょくちょく寄らせてもらうわ」

「はあ?ふざけないで!金輪際来ないでよ!」

「俺手作りの料理に飢えてんだよね、営業を支えるのがアシスタントの仕事だろ?よろしく頼むよ」

「そんな無茶苦茶な…!」

「あ!みんなに今日のことも言ってもいいか?」

「……」

きぃーーーっ!
言いふらされるのを嫌がる私を弄ぶこいつが憎たらしい!
不適な笑いを浮かべる神城に何とか言ってやりたいと考えを巡らす。

あっ!あれがあった!

「あんたそう言えば私に嘘ついてたでしょ!」

「え?何が?」

しらを切るこいつに一泡吹かせてやる!

「あの日、私が一晩中あんたにしがみついてたなんて嘘でしょ!絶対離れてた時間があったはず。じゃなきゃ着ていた上着を脱いでブラウスだけの格好でいるはずがない!」

ヤベッて顔がアリアリの神城を追い詰めるべく更に言い募る

「あんたもスーツ脱いでワイシャツ一枚だったじゃない!私が腕にしがみついてたら脱げるわけないよね?」

しかも上着は丁寧にハンガーにかけられてた。
マメなことをすると思いながらも引くつく奴の顔を見ながら更に言ってやる。
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