悔しいけど好き

奴のけじめ

「ただいま~」

「うおっ!姉ちゃん、鷹兄!お帰り」

久々の実家の玄関を開けたらまたもや弟の湊斗が目の前にいて驚きつつ出迎えてくれる。
あんたいっつも玄関にいるわね?いったい何してるわけ?と突っ込んでる間に、声を聞き付けたお母さんがパタパタと走ってきた。

「お帰り凪!鷹臣君!」

笑顔で出迎えてくれたのはいいけど鷹臣にささどうぞ、と腕を引き引っ張っていく。

私は置いてきぼりを喰らい唖然。
そう言えば、お母さん初めみんな鷹臣を気に入ってたんだ。でも私を差し置いてまで歓迎しなくてもよくない?
ぶつぶつ独り言を言っていると湊斗にぷっと吹き出された。
じろりと睨んでみんなの居る居間に行く。

既にお父さんとお兄ちゃんもいて湊斗もいそいそと座る。
お母さんはお茶を入れにいって、私は家族に囲まれている鷹臣の隣に座り反対側にいるニコニコで元気そうなおばあちゃんに挨拶した。

「おばあちゃん久しぶり、元気だった?」

「う~ん元気だよ。凪ちゃんもげんきそうだねえ~」

おばあちゃんのこのおっとりした喋り方が大好き。
一気に癒されて帰って来たな~って思える。
お母さんがお茶を入れて戻ってきてみんなに配りお父さんの隣に座った。

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