悔しいけど好き
「今日はまた一緒に押しかけてすいません。お世話になります」

「いいんだいいんだ。また一緒に飲めると思って楽しみにしてたよ」

鷹臣が改まって言うとお父さんが嬉しそうに笑う。
その顔はほんとに楽しみにしてたみたいだ。
まだ夕飯には早いけど早速飲むか?と海里兄さんが飲む真似をすると鷹臣はいえ、と首を振る。

「その前に、皆さんにご報告があります」

固い表情になった鷹臣にシン…と一瞬静まり返った中、鷹臣は座布団から降り両手を着いた。
お父さんもん"ん"と咳払いをし居住まいを正す。
こっこれままさか…例のあれか?と皆が期待し注目した。

私はというとえ?もう言っちゃうの?とドキドキで、指輪を触りながら落ち着いた様子の鷹臣を不安げに見るばかり。
そして、すっと息を吸った鷹臣に誰もがその言葉が出てくるのを待った。



「申し訳ありません!」


「・・・え?」

たっぷり時間を要した後、お父さんの気が抜けた声が聞こえる。
予想に反した言葉が出てきて皆何を言ってるのだと困惑顔。

「たっ…鷹臣?」

私は動揺で頭を深く下げる鷹臣の肩を揺する。

「凪を…凪さんを危険な目に合わせてしまいました」

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