悔しいけど好き
姉ちゃん姉ちゃんと呼ばれつつも湊斗が小学生の時に大学進学のために私は実家を出た。
たまに帰る時しか会わない弟なのにこんなに怒るとは思わず、驚きと少しは慕ってくれてるんだなと感慨深い想いがした。

「……」

「俺が、不甲斐ないばかりに凪さんに辛い思いをさせてしまいました。大変申し訳ありません」

黙ったままの両親にもう一度頭を下げる鷹臣。
お母さんが初めに私を気遣い声を掛けてくれる。

「凪、大丈夫なの?」

「大丈夫!もう解決したし、大したことはされてないから。ちょっと怖かったってだけで…」

「凪の大丈夫は当てにならない!」

鷹臣に語尾を強く言い切られてムッとした。
言った本人は憮然とした顔で私を見据えてどこか間違ってるか?と顔が言っている。
間…違ってはいないけど、ここで言わなくても…。
心配かけたくないのに、おかげでおばあちゃんまで困った顔をしているじゃない。

「話は分かった。もう解決したというのならそれでいい。ただ凪、こういうことは事が起こった時に報告してくれ、いくら離れているとはいえ家族なのだから頼ってくれてもいいだろう?」

「はい…ごめんなさい」

お父さんに窘められ私はしゅんとする。
そりゃあ報告しなかったら怒るよね?私だって家族に何かあった時何も教えてくれなかったら嫌だと思う。
そう思うと私のしようとしてたことは間違ってたと隠そうとしたことを反省した。


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