悔しいけど好き
「何だ湊斗、お前は不満なのか?」

海里兄さんがまだ不貞腐れた顔の湊斗の首を羽交い絞めにしてウリウリと頬を突く。

「別に…姉ちゃんを泣かせるようなことしなきゃいいよ」

「湊斗ったら、案外優しいのね?お姉ちゃん感動したわ」

「うっ、うるせえ」

照れくさいのか悪態ついて暴れる湊斗は海里兄さんにがっちり押さえられて逃げ出せないでいる。
クスクス笑ってると鷹臣も湊斗に話しかけた。

「湊斗ごめんな?これからはちゃんとお前の姉ちゃん守るから許してくれ」

「お、おう…許す!」

「何偉そうに言ってんのよ」

憮然と言う湊斗に私が突っ込み皆が笑う。

ああ、良かった。
一時はどうなることかと思ったけど一見落着!って感じになって私たちの結婚も受け入れられてほんとによかった。

よし!前祝だ!酒持ってこーい!と上機嫌の海里兄さんに呆れながらお母さんは立ち上がりいそいそとキッチンに走る。
私も手伝いに行ってあっという間にテーブルの上に料理とお酒が並ぶ。
お母さんは先に料理もお酒も用意してたらしいので私は運ぶだけだった。
和やかにお酒は進み和気あいあいと話が盛り上がる。
そんな中お母さんが聞いて来た。


「結婚式はいつ?凪は仕事どうするの?」

「式とかはまだ決めてないけど、仕事は…辞めない」

そう言って鷹臣を見るとちょっと困った顔をする。


仕事をどうするか。
私の意思は正木部長に伝えてある。
自分の決断に後悔はない。

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