悔しいけど好き
翌日の大晦日。

私たちは海里兄さんに連れられ久しぶりに周くんの家に訪れた。
もちろん年末の挨拶と赤ちゃんを見る為。
鷹臣は嫌なら来なくてもいいよと言ったけど付いて来た。
周くんと聞いて相変わらず不機嫌ではあるけれど。

「やあ、いらっしゃい」

出迎えてくれた周くんとその隣にいた綺麗な人。周くんの奥さんだ。腕には首が座ったばっかりらしい赤ちゃんを抱いている。

「あなたが凪さん?初めまして敦子(あつこ)と言います。この子は美波(みなみ)

「はじめまして!わあ美波ちゃんかわいい!」

「抱いてみる?」

「いいんですか?」

つぶらな瞳が私をじっと見ていてたまらなくかわいい美波ちゃんを恐る恐る受け取りその小ささと柔らかさにほっこりした。

美波ちゃんに夢中になってる私を見てニコリと笑い、寄り添う周くんを見上げた敦子さんはほんとに幸せそうで、ちらりとその様子を見て私はもっと嬉しくなった。

二人が幸せそうで、何より美波ちゃんが可愛くて、私もいつかは鷹臣の子を…なんて考えるとどうしようもなく照れてしまう。
一人で悶えてると海里兄さんと周くんが話出し敦子さんも話に加わる。
ふと、隣で挨拶だけ済ませて黙っている鷹臣に美波ちゃんを見せた。

「鷹臣も抱いてみる?」

「え?俺?」

戸惑う鷹臣にほらほらと抱かせるとぎこちない手つきで危なっかしい。
アワアワする鷹臣に美波ちゃんも居心地が悪いのが身動ぎする。
私も怖くて手を添えて落ちないように見てるとやっと落ち着いたのか抱き方が安定した。

「…かわいいな、ムカつくけど」

「え?」

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