悔しいけど好き
昨日たっぷりごちそうとお酒を飲んだから、今日はあっさり年越しそばにして後は鷹臣が帰ってきたらそばをゆでてすぐ食べられるまで用意をし終えて外を見ても一向に姿が見えない。
いったい何してるのかとイライラしてると湊斗が隣にやってきた。

「はいこれ」

「ん?なに?」

「見ればわかる」

「ああ、これ!」

受け取ったのは小冊子くらいのアルバムで懐かしく思いながらペラペラとめくり最後のページを見て顔が赤くなる。
にやりと笑う湊斗にわなわなとアルバムを持つ手が震えた。
こっ!こんな写真!家族に見られたら恥ずかしい!

「みっ!湊斗!これっ!」

「あ、鷹兄帰ってきた」

湊斗に詰め寄ろうとした時、しらっと言った湊斗の言葉に釣られて窓を見ると鷹臣が歩いてくるのが見えた。

ハッと隣を見るとその間に湊斗は消えていて、もう!後でとっちめてやる!と思いながら鷹臣の元に小走りになって迎えに行った。

玄関まで出て鷹臣の姿がはっきり見えて唖然と立ち尽くしてしまった。
目の前まで来た鷹臣は居心地悪そうに目をあさっての方向にやって私を見ない。



「どっ…どうしたのそれ!?」

やっと出た言葉と共に持ってたアルバムがパサリと落ちた。

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