悔しいけど好き
……




「ちょっと!どうしたのその顔!?」

凪の実家に戻り玄関まで出てきた凪になんて言っていいかつい目が泳ぐ。
殴られた頬は時間が経つにつれ腫れていき見るも無残な顔になってた。
慌てて家に連れ込まれおばあちゃんの横に俺を座らせると何処かへ行った凪が濡らしたタオルを持って戻って来て俺の頬に当てた。

「冷たっ!」

「じっとして!こんな時間まで何してたの!?なんでこんな顔してんのよ!」

怒ってる凪にタジタジで隣のおばあちゃんはあらあらと心配してくれる。
騒ぎを聞き付けたらしい海里さんが俺の顔を見てにやりと笑った。

「鷹臣!聞いてるの!?」

「あ、ああ聞いてる。何でもない。ちょっと転んだだけだ」

「その言い訳通用するとでも?」

ギロリと睨まれ顔が引きつるとズキッと頬が痛む。
痛てえっと顔を歪ませるとくつくつ笑う海里さんの笑い声。

「凪、そう怒るな。鷹臣はけじめをつけてきたんだ、褒めてやれよ」

「だから!そのけじめって何!?」

プンプン怒る凪を宥めてるのかおちょくってるのか?
海里さんは何も話していないのに全てわかっているようで豪快に笑って俺と凪の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。

何事かとやってきた湊斗にお父さんとお母さんも俺の顔を見てぎょっとする。
海里さんがなんてことはない気にするなと心配するみんなを笑い飛ばした。


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