悔しいけど好き

悔しいけど好き

……

ゴーンゴーン…と外から鐘の音が聞こえる。
テレビではカウントダウンが始まった。

「5!4!3!2!1!」

「あけましておめでとう!!」

ひと騒動の後、何事も無かったように夕飯に年越しそばを食べ、おばあちゃんは既に就寝し、残った家族で新年最初の挨拶をする。

「今年は家族が増えると思うと感慨深いな」

お父さんが言って鷹臣にお酒を注ぐ。

「ま、これからもよろしく!凪を頼むや」

海里兄さんが鷹臣の首を羽交い絞めにして自分もお酒を煽った。
湊斗は相変わらずカメラを構えカシャカシャと写真を撮ってる。

「さ、お父さんそろそろ私たちも休みましょう」

大分赤ら顔のお父さんを引っ張りおやすみと言ってお母さんとお父さんも部屋へと戻っていった。
暫く話をしていた私たちも寝ようかと客間へ入った。

「それなに?」

私の持ってるアルバムを見て鷹臣が聞いてくる。
一瞬見せるかどうしようか迷ってそれを鷹臣に渡した。

「ああ、アルバム。あ、夏に俺たちが来た時のか?湊斗が撮ったやつだな」

布団の上に座りアルバムを開いた鷹臣が懐かしそうに写真を眺めているのを横から私も覗いた。

昔はぶれたりタイミングが悪くて変な顔だったりしてたのに湊斗が撮った写真はみんなの笑顔が良く撮れていて、いいシーンがいっぱいあった。
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