悔しいけど好き
「うおっ…!」

営業部の入り口の前。
人が来る気配がして私は仁王立ちしてドアが開くのを待っていた。
案の定入ってきたのは神城で私が目の前に立っていたものだからびっくりして奇声を発している。

「なっ…何でお前まだいるんだよ?何時だと思ってんだ?」

「それはこっちの台詞よ!」

もう時刻は9時過ぎている。
さすがに残業組も帰って部屋には私と神城しかいない。

「こんな時間にここに来てなにするつもり?まさか今から仕事するとか言わないでしょうね?」

「……そんなのお前に関係ねえだろ?散々残業してきたお前に言われたかない」

憮然と言う奴にムカッときてガシッと腕を掴んで引っ張った。

「私にやり過ぎは良くない休めと言った人の言うことじゃないわよね?来なさい!」

「おいっ…!ちょっと!」

奴が止めるのも無視してぐいぐいと引っ張って行く。
会社を出て向かったのは私の家。

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