悔しいけど好き
渋る奴を無理やり部屋へ上げて作り置きしていた料理を暖め直してテーブルに並べた。

「なんだよこれ…」

「あんた待ってて夜ご飯食べてないの!どうせあんたも食べて無いんでしょ?まずは腹ごしらえよ!」

珍しく居心地悪そうにしてる奴の前に座りいただきますと手を合わせ食べ始める。

「二度と来んなって言ってたくせに…」

ぶっ…と吹き出しそうになり慌ててお茶を飲んで落ち着ける。
ドアに向かって叫んでたの聞いてたらしい。

「あんた…それ聞いてうちに来なかったの?」

「そういう訳じゃない…いただきます」

ブスッと不機嫌に言って黙々とご飯を食べ出す。
じゃあ何なんだと問いただしたいけどパクパクとご飯を食べる奴の顔を見てとりあえず自分もご飯に口を付けた。

暫くの沈黙。まるでお通夜みたいだ。
それでもきれいさっぱり出した食事を平らげふうっとため息を着いた奴はやっぱり疲れてるよう。

「ねえ、聞きたいこと山ほどあるんだけど…。付箋にいくつも書いたのに何で返事しないの?」

「ぶふっ…」

「ちょっ…!汚い!」

お茶に口を付けてた奴が吹き出してテーブルの上をお茶まみれにした。
私にも少しかかって思いっきり嫌そうな顔をすると奴は小さく悪りい…と謝った。
もう!と布巾を出してきれいにしてからまた奴に話しかけた。
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