悔しいけど好き
「俺のこと嫌いなくせに…」

ボソッと言った奴の言葉が耳に入り、ついヤバいって顔をしてしまった。
嫌いだと公言したことはない。
でも態度はあからさまだからさすがに奴もわかってるだろう。
スーッと目を細める奴になぜだか焦る。

「や…それはあんたがちょっかいかけてくるから！あんただって私のこと嫌いでしょ？」

「…俺は、そんなことは思ってない！」

奴は語気を強め真剣な顔で言うもんだからびっくりして怯んでしまった。
は…ははっとついから笑いをしてしまう。

「ま…まあ…それは置いといて。一番聞きたかったのは私の担当も引き受けて大変じゃないの？絶対倍は働かないとやってけないでしょ？」

「別に…何とかなってるよ」

憮然と言う奴に怒らせてしまったかと苦笑い。

「いや…私の二の舞にならないようにちょっとは素直になろうよ。私はあんたのアシスタントなんだからもっと頼って欲しい。ましてや元営業なんだから他のアシスタントより色々出来ると思うんだ。正直言うと今の仕事量は物足りない。もっと私に仕事をちょうだい」
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