悔しいけど好き
お互いムッと睨み合ってぷぷっと吹き出した。
奴と清々しく笑い合うなんて初めてかもしんない。
やっと笑った奴はネクタイを緩め足を崩してホッとした顔をする。

「あ~ほんとは助かる。かなりキツかったんだ。お前の担当。お前かなり細かいとこまで相手の要望聞いてただろ?俺にもそれを要求されて正直困ってたんだ」

「え?そうなの?」

「俺は要望を聞くより企画を提案して俺のしたいように誘導してたからな。お前のやり方とは少し違うんだ。相手もちょっと戸惑っててそこら辺教えて欲しい」

「あ…うん…。営業のやり方自体違うなんて思わなかったな」

だから奴にはいつもかなわなかったのかな?
企画力は私もあるつもりだったけど相手の要望を聞いて自分のやりたいようにはしたことがなかった。

「まあ…色々アプローチの仕方があるだろう?お前のやり方は相手にとっちゃ要望を聞いてくれて有難いと思ってるだろうしこまめなとこはさすが女だなと思う」

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